サービスのユーザーアクティベーションを改善するための5つのアプローチ
リテンション改善の最初の取り組みとして最も効果が高いのが、アクティベーション率の向上です。平均的なブランドはアクティベーション率が約30%台とされており7割近くものユーザーが最初のフェーズで離脱しています。本記事では、ユーザーアクティベーション低下につながる5つの原因とその改善策について解説します。
なぜアクティベーションがリテンション全体に影響するのか
アクティベーション率が上がると、その後のリテンション全体に連鎖効果が生まれます。
ECサイトにおけるシミュレーション:
仮に、四半期に10,000人の新規ユーザーかつ平均注文額1,200円のブランドを仮定すると以下のような数値感になります。
| 指標 | 現状 | 改善後(初回→2回目を20%→25%に改善) |
| 2回目購入 | 20% | 25%(+500人) |
| 3回目購入 | 45% | 45%キープ(+225人) |
| 4回目購入 | 70% | 65%キープ(+157人) |
| 4回購入までの追加収益 | ― | 188,400円 |
5ptの改善が長期的な大きな収益差につながります。
金融アプリの事例
20日以内に取引を3回体験したユーザーと体験しなかったユーザーを比較したところ、以下の差が見られました。
| 指標 | 3回以上取引あり | 取引なし |
| 初月リテンション率 | 95% | 76% |
| その後の離脱率 | 低い | やや高い |
登録後すぐのフェーズへの適切な介入がリテンション率を高めるための重要なポイントになります。
アクティベーション率を下げる5つの原因
以下の順序で確認していくことを推奨します。
原因1:プロダクトマーケットフィットの不足
ユーザーがプロダクトの価値を感じられなければ、どれだけオンボーディングを改善しても戻ってきません。まずPMF(Product Market Fit)を確認しましょう。PMFの確認方法としてはユーザーアンケートが有効です。「このプロダクトが使えなくなったら、どの程度残念ですか?」というアンケートで「非常に残念」と答える人が40%未満ならPMFが不十分な可能性があります。PMFがある場合でも適切なユーザーを正しく獲得できているか別途確認する必要があります。
原因2:獲得チャネルのミスマッチ
2つ目は獲得チャネルのミスマッチです。トラフィックソースによってアクティベーション率が大きく異なる場合があるため、留意が必要です。
- 広告とランディングページでメッセージが乖離していないか:期待と現実のギャップをケアする
- インフルエンサーや特定のキャンペーン経由の流入で「自分ごと感」が低いユーザーが増えていないか
具体的なチャネル・キャンペーン別にLTVを比較しアクティベーション率の差を分析することをおすすめします。
原因3:過度なディスカウント
初回50%割引など大型割引は短期的なコンバージョンを上げますが、バーゲンハンターを引き込むリスクがあります。ある事例では、同一ソースからの流入で「割引ありユーザー」と「割引なしユーザー」のLTVを比較したところ、割引なしユーザーの方が大幅に高く、CACを数倍引き上げても収益性が高かったという結果になりました。トライアルの設計も重要です。無料期間の長さ、料金体系、初期設定のハードルなどが、アクティベーション率に大きく影響します。
原因4:オンボーディングと継続コミュニケーションの不足
ユーザーがサービス価値を実感する瞬間(俗にいう「ワオ・モーメント」)に導くためのオンボーディング設計が不十分なケースにも留意が必要です。
具体的なチェックポイントは以下の通り。
- ニーズに合わせたパーソナライゼーションがされているか
- サービスの利用習慣形成をサポートするコンテンツを提供しているか
- リピート購入に向けた適切なタイミングでのプッシュがあるか
- ランディングページで伝えた重要な価値訴求をその後のコミュニケーションで繰り返しているか
- しばらく購入がない場合に「理由を聞く」フォローをしているか
原因5:ユーザーが「待てる」設計になっているか
サプリメント、フィットネス、体験企画など物理的なプロダクトでは、ユーザーがサービスの価値を実感するまでに時間がかかります。その間にユーザーの興味残高が尽きてしまい、離脱につながるケースがあります。体験までに間が空いてしまうビジネスモデルの場合、例えば、以下のような対策が可能です。
- LPで「効果が出るまでのタイムライン」を明確に提示
- 定期的なメールで「今この段階であなたの体に何が起きているか」を伝える
- 体感しにくい効果を「具体的な研究結果」として可視化
アクティベーションに影響するアクションを特定する方法
App&Web含むデジタルサービスではデータ分析でアクティベーションに影響するアクションを特定しやすい利点があります。
- 長期継続ユーザーと初期離脱ユーザーをセグメント分けする
- 初期段階で各セグメントのユーザーが取っていたアクションを比較する
- 継続ユーザーに多いアクションを特定し、そこに誘導する施策を設計する
- A/Bテストで効果を検証する
デジタルサービスほどではないですがフィジカルなサービスでもメール開封履歴やサイト閲覧データを使って類似の分析が可能です。
アクティベーション改善の3つの切り口
今まで説明した要因に対して、アクティベーション改善に向けた3つの重要な対策は以下となります。
- オンボーディング改善:ステップ数削減、パーソナライズ、フリクション除去
- ワオ・モーメント設計:価値を感じる瞬間の分析と拡大、正確な期待値管理
- 習慣化設計:サービス利用を習慣化しやすいルーティン提案、時間・場所・チャネルを含め日常生活との接点を作る
まとめ
本記事ではサービス初期ユーザーのアクティベーションを下げる5つの主要因とその対策について解説しました。改めてアクティベーション率を下げる5つの原因は以下です。
- PMF不足:そもそも価値を感じるユーザーに届いていない
- 獲得のミスマッチ:広告メッセージと実体験の乖離
- 過度な割引:金銭的魅力のみでマッチングの低いユーザーを引き込んでいる
- オンボーディング不足:ワオ・モーメントへの誘導が弱い
- 時間期待値の調整:価値を感じるまでの時間設計が不十分
アクティベーション率が1〜5%改善するだけで、その先のリテンションプロセス全体が改善され、収益に大きなインパクトをもたらします。まずは5つの原因を順番に確認し、自社の最大の課題を特定するところから始めましょう。