A/BテストにおけるQAとは?適切なテストを実施するための品質保証アプローチを解説

ABテストにおけるQAとは?

A/Bテストの仮説設計やテスト設計に十分な時間をかけたのに、不具合を見落としたまま本番公開してしまう。その結果、ユーザー体験を毀損し、データは使えず、テスト期間が無駄になる。こうした事故を防ぐために欠かせないのが、QA(Quality Assurance:品質保証)のプロセスです。
本記事では、A/BテストのQAで押さえるべき3段階の確認プロセスと、テストページの実装チェックリスト、公開後の初動確認、そしてQAを仕組み化する方法について解説します。本記事を読むことで、テスト実装タイミングのQA精度を上げるナレッジを得ることができるかと思います。

なぜA/BテストにQAが不可欠なのか

QA(Quality Assurance:品質保証)は「バリエーションが見た目通りになっているか」を確認するだけの工程ではありません。確認すべき主要観点は大きく4つあります。①テストパターンが想定通りに表示されるか、②既存機能が壊れていないか、③各デバイスと主要ブラウザで問題が起きないか、④正しく計測できているかなどです。
また、厳密にQAには「ソースコードのQA」と「ツール設定後のQA」の2段階があります。前者はソースコードのチェックおよび変更による他の要素への影響のチェックです。後者は、配信設定やコンバージョン計測のチェックです。
経験上見落とされやすいのが「周辺要素が壊れていないか」という観点です。JSで要素を書き換えると、変更箇所そのものは正しく動いていても他の要素に影響を及ぼすことがあります。

よくある失敗例は以下です

  • タブレットサイズだけ表示崩れが起きている
  • SafariでJSエラーが出てページが真っ白になった
  • 申込フォームの送信ボタンが動かなくなった
  • とれていたイベントが取得できなくなった
  • ボタンに設定していたパラメーターが消えており、広告効果の計測ができなくなった

QAの主な進行

A/BテストのQAのコツは段階的に精度を上げていくスタンスが実際は現実的です。主なステップとしてはプレビュー、複数環境確認の3段階で進めます。

ステップ1:プレビューモード確認

最初のステップは、テストツールデフォルト装備のプレビュー機能を使った基本的な表示確認です。主要なほぼすべてのA/Bテストツールにプレビューモードがありますテストを本番公開せずに各パターンの表示を確認できます。ただし、プレビューモードにも限界があります。あくまで「ツール上の表示確認」であって、本番環境そのものではありません。例えば、本番のJSとの干渉、Cookieや認証が絡む機能の挙動、ページのロード時間やフリッカー現象などの各種事象はプレビューモードだけでは検知しにくいのが実情です。そのため、プレビューだけで完結させず、ネクストステップに進む必要があります。

ステップ2:主要ブラウザ・デバイスで横断確認する

前ステップで基本的な表示に問題がなかったら、続いては主要なブラウザとデバイスの組み合わせで横断的に確認をします。デバイスは全て、ブラウザは主要なものは網羅したいです。

環境優先度
Windows × Chrome最優先
Mac × Safari最優先
iPhone × Safari最優先
Android × Chrome最優先
Windows × Edge
Mac × Chrome
iPad × Safari
Windows × Firefox

経験上注意すべきはモバイルSafariです。ITP(Intelligent Tracking Prevention)によるCookie制限、スクロール挙動の独自仕様、フォーカス挙動の違いなど、他のブラウザで正常に動いていても崩れるケースがあります。タッチ操作、スクロール感触、画面遷移のアニメーションなど、実機でしか気づけない問題も多いためため、実機確認が推奨です。どの環境を優先するかは、自社サイトのアクセスログを確認し、実際のユーザーが多く使っているブラウザとデバイスの組み合わせを基準に判断するのが合理的です。

A/Bテストの見落とし防止チェックリスト

実際のQAで使える具体的なチェックリストを整理します。Notionやスプレッドシートにメモしておき、テストごとにコピーしてチェックするのが見落としも減りおすすめです。

表示とレスポンシブの確認ポイント

表示系の確認では、変更箇所が想定通りに表示されているか、他の要素が押しつぶされたり崩れたりしていないか、フォントサイズや行間、余白が自然か、画像やアイコンが正しく読み込まれているかをチェックします。
レスポンシブの確認では、PC(フルHD)、タブレット、スマートフォン縦、スマートフォン横の各画面サイズで表示が崩れないことを確認します。ブラウザ幅を動的にリサイズしても要素が追従するかどうかも確認ポイントです。

機能・ナビゲーションの確認ポイント

フォームへの入力と送信が動作するか、プルダウン・チェックボックス・ラジオボタンが正しく反応するか、モーダルやダイアログの開閉、ハンバーガーメニューの動作、検索やフィルター機能、カートへの追加・削除といった操作を一通り確認します。
ナビゲーション面では、メニューリンクが正しく遷移するか、ページを行き来してもテスト状態が保持されるか、ブラウザの「戻る」「進む」ボタンで表示が崩れないかをチェックします。ECサイトであればカートへの追加から決済完了までのフロー全体を通して確認し、途中で離脱して戻った場合にも正常に動作するかを見ておくと安心です。地味ですがぱんくずリストが落ちていないかなども確認しましょう。

計測イベントと振り分けの確認ポイント

計測面では、Google Analyticsなどのアナリティクスにヒットが送信されているか、カスタムイベントが正しく発火するか、ユーザープロパティが正しく付与されているかを確認します。確認にはブラウザ拡張機能やデバッグ機能を活用しましょう。
A/Bテストツールの場合は設定したコンバージョン定義が意図通りか確認します。

複数ページ・テンプレート単位のQAで見落としを防ぐ

特定のページ1枚だけを変更するテストであればそのページでQAすれば十分です。しかし実際には、全商品詳細ページ、全チェックアウトステップ、全記事ページのように、テンプレート単位でテストを行うことも多いです。
テンプレート単位のテストでは、1つのページだけ確認せず、異なるカテゴリの商品ページ(家電、アパレル、食品など)、商品画像の枚数が多いパターンと少ないパターン、レビューが多い商品と少ない商品、セール対象と非対象、在庫ありと品切れ、ログイン中と非ログインなど、条件の異なるバリエーションを確認する必要があります。1タイプだけ完璧に動いていても、他のタイプで崩れていたら、そのカテゴリのページテンプレートは影響を受けます。
チェックアウトフローをテスト対象にしている場合は、カートから個人情報入力、配送選択、決済、完了画面まで全ステップを通しで確認します。途中で戻った場合の挙動、決済エラー時の表示、クーポン適用時の挙動も忘れずにチェックしてください。フロー上のどこか1ステップでも崩れると、そこから先のコンバージョンがすべて失われるため、通し検証の重要度は非常に高いといえます。

公開直後のQAとダッシュボードのモニタリング

本番公開前のQAを丁寧に行っても、本番環境特有の問題が残っている可能性があります。そのため、本番公開後の数分〜1時間以内に再度QAを行います。事前のQA環境では再現しにくかった問題を検出するためです。
あわせて、テストツールのダッシュボードで最初の数時間は注意してモニタリングしましょう。テスト表示ユーザー数がだいたい想定通りに増えているか、配信配分は事前設定通りか、直帰率やエラー率に大きな変化がないかを確認します。
異常がある場合は、公開後なるべく早いタイミングでテストを停止することをおすすめします。

QAを仕組み化する:チェックリスト標準化と自動化

QAの品質を個人のスキルや意識に依存させないためには、仕組み化が不可欠です。

チェックリストの標準化と複数人体制

毎回同じチェックリストをNotionやスプレッドシートに用意し、テストごとにコピーして実行する運用がおすすめです。チェック済みのリストが「QAを済ませた証跡」として残るため、属人化の防止にもなります。
また、実装者以外にQA担当をつける体制が効果的です。実装者は自分が加えた変更に目が慣れてしまい、崩れや不具合を見逃しやすい傾向があります。第三者の目を入れることで、検出率が大きく向上します。テスト数が多い場合はQA専用のAIエージェントを最初に動かすという体制も検討しましょう。

おわりに

本記事ではA/BテストのQAで押さえるべき確認プロセスと、見落としを防ぐためのチェックリストおよび仕組み化の方法について解説をしました。

具体的なポイントとしては以下の5点です。

  • QAは「表示」「機能」「計測」「環境」の4軸で品質を担保する
  • プレビュー環境をフル活用し段階的に本番環境に近づけて検証する
  • テンプレート単位のテストでは複数パターンを確認する
  • 公開後の初動確認は事故防止の最後の砦
  • チェックリストの標準化、複数人体制、自動化によって非属人化する

本記事の内容をもとに、より適切なA/BテストのQA体制の構築につながれば幸いです。

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この記事を書いた人

KurotaKoki

マーケティングライター。主にデジタルマーケティング、コンバージョンマーケティング、A/Bテスト関連のコンテンツを担当しています。

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